第176章 お前は留学帰りじゃないのか?どうして見殺しにする?

高橋由紀が息を切らしてバーに駆け込んだ時、高野咲子はすでに泥酔して、ソファに溶けたみたいにぐったりしていた。

「お客様、こちら……お連れさまのお会計です」

店員は由紀の姿を見るなり、印刷した伝票を差し出してくる。

「……彼女、俺の彼女じゃないです」

由紀はボックス席に倒れ込み、全身から酒の匂いを撒き散らしている咲子を見て、ため息混じりに言った。

洗面を済ませ、家でカルテを書いていたところに突然「お連れさまが潰れてしまって」と電話が来た時の呆れた気持ちといったらない。

店員は目を丸くして何か言いかけたが、その瞬間、ソファの咲子がふらふらと起き上がり、由紀に向かって突進してきた。

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